活動履歴へジャンプ
本文へジャンプ

ATTS紹介
 繊維製品技術研究会の生い立ち (クリックしてください)
-(ATTSレポート第157号「ATTS第200回研究会を迎えて」より)-

元会長  安部田 貞治

 このたびATTSの第200回目の研究会を開催することができたことは、非常に喜ばしいことである。まずは、ATTS研究会をここまで、維持、発展させることにご尽力いただいた、先輩諸氏はじめ会員の皆様に深く感謝申し上げたい。
 本研究会の歴史を振り返ってみると、昭和50(1975)年頃から、消費者ニーズに合った適品の提供を目指して、鐘紡㈱の呼び掛けにより、繊維メーカー、アパレル、百貨店、商社などの技術担当者で、準備委員会が結成され、昭和52年4月1日に第1回研究会が開催された。この時の参加企業は、上記繊維関連企業など20社であったが、当時から繊維製品の品質向上には、川上から川下にわたるタテの組織における情報の円滑な流通が必要であるとの認識の下で、その後、繊維製品の製造に関連する企業、消費に関連する企業、試験機関などから幅広い業種が参加され、現在では正会員69社(企業団体)、2名(個人会員)ほか、多くの特別会員、レポート購読会員を抱える日本で最も有力な繊維関係の実務技術者の集まりとなり、業界からも高い評価を得ている。
 本会の目的は、基本的には当初の考えと同じであるが、会則によれば「繊維製品の品質に関し、技術的見地より調査研究を行い、繊維製品の品質の改善、並びに取扱いまたは消費の適正化を図り、業界の発展に寄与すること」である。この目的達成のために、必要なことは、当初から言われてきたように、「Give and Take」の精神でありこれは現在でも本会の各研究分科会で連綿と続いている。各会員がテーマを持ち寄り、それぞれが試験、評価を行って議論しながら、結論をまとめていくという理想的な方法で運営が行われている。これに参加することによって、各会員のレベルアップが図られ、得られた成果がATTS試験法、或いはJTSの原案となって、会員個人と共に業界の発展にも寄与しているのである。「Give and Take」の精神は本会の将来の発展のためにも最も重要であり、これがなくなれば本会は縮小のー途を辿らざるを得ないであろう。発足当初の昭和52年には4回の研究会が開催されたが、この時のテーマは、アパレル、百貨店からの繊維製品に関するクレームの紹介、及びその対策であった。これは現在でも関東、関西の情報研究会の最大のテーマである。当然のことながら、当初と現在とでは、内容的に大きく異なっているものもあり、より複雑化している。これらの繊維製品の品質に関する技術的問題の原因の究明、再現性のある試験、評価方法の確立、これらに基づいた品質の改善を継続的に行うことが我々に課せられた使命である。今回の第200 回研究会を期に、ATTS研究会が日本の繊維製品の品質に関する技術者集団として、より一層、業界から信頼され、尊敬される団体であり続けることを切に望んでいる。

   
繊維製品技術研究会(ATTS)の活動履歴
現在の分科会活動について ⇒ ここをクリック
-----------------------------
 2017年にATTS設立40周年記念大会を開催し、その際に、この10年間の活動としてまとめ直した資料を次に示す(以下のアンダーラインをクリックするとご覧いただけます)。

  2007年度~2016年度のATTS研究会での講演および話題提供の内容
 
あと、ATTSレポート30周年記念第130号で掲載した内容に、その後の成果を追加してまとめなおし、ATTSレポート第157号に掲載されたものである。試験方法、評価方法、調査研究の成果については、ATTS試験方法やATTSレポートの欄でリンク(下線部分をクリック)を貼って、詳細をご確認いただけるようにしました。ご覧の際には、会員ページのID、パスワードが必要です。
 ATTS試験方法
ATTSレポート
研究
時期
 備考
塩素処理水に対する染色堅ろう度試験方法
 №1(1981.9) 1978-
1981 
 JIS化(1982)
酸素系漂白剤による繊維製品の染色堅ろう度並びに強度変化に関する試験方法
№7(1983.8) 
№8(1983.10) 
1983   JIS化(1985)
光及び汗に対する染色堅ろう度試験方法 (ATTS法人工汗液)
No.28, No.29
(1987.2)
No.38, No.39
(1989.2)
 1987-
1989
 JIS L 0888で2018年に採用された。「ATTS人工汗液」とされている。
反応染料染色品の経時変化による色泣き堅ろう度試験方法
 №48(1991.4)
1991  高温高湿度時の
 加水分解試験
ポリエステル繊維染色品の色泣き堅ろう度試験方法
 №49(1991.5)
1991  洗濯堅ろう度法は
JIS L0844 C-2S法上昇法は色泣き試験(大丸法)である。
衣料用ポリウレタン加工素材の経時変化に対する評価方法
№58(1992.11)
№59(1992.12)
1992  酸加水分解(D法の人工汗液)によるジャングルテスト
ウォータースポット現象の評価方法と対策
№67(1994.4)
1993-
1994 
水滴下による確認
撥水の付与
水洗い可
フリースのピリング試験に対する判定基準及び表記方法
№113(2003.2)
 2002-
2003
判定写真作成と現象の呼称統一
耐光試験機の調整用染色布の作成
№114(2003.3)
№123(2005.5)
 2003-
2005
耐光堅ろう度の標準変色布作製
塩素処理水に対する染色堅ろう度試験用標準布の作成
№126(2006.2)
2006 塩素処理水堅ろう度の標準変色布作製
色泣き試験方法
№136(2008.8)
№139(2009.5)
№143(2010.5)
№152(2012.7) 
2008-
2012
バラツキ要素を検証し、安定した試験法の確立(水分蒸発量で管理すること)
酸素系漂白剤に対する染色堅ろう度試験方法
№152(2012.7)
№159(2014.5) 
 2012-
2014
日本国内の家庭洗濯に適した酸素系漂白試験方法の検討
・JIS化(2014)

ATTS試験方法
 ATTS設立40周年記念誌に、繊維製品技術研究会(ATTS)が検証を行った研究成果を基に作成した試験法をまとめています。概略は、以下の通りです。
ATTS1201:1987、ATTS1201:2016
光及び汗に対する染色堅ろう度試験方法
 JIS L 0888 で使用する人工汗液では染料によって光及び汗の複合で生じる変退色の実態の再現性が低いため、消費者クレーム及び品質管理に適切に対応できていなかった。そこで、光による還元作用を考慮に入れた新しい人工汗液の開発を行った。この研究成果を基にJIS化された試験法である。

ATTS1301:1991
ポリエステル繊維染色品の溶剤による色泣き堅ろう度試験方法
 この規格は、ポリエステル繊維染色加工品のドライクリーニングにおける濃色染色部分から淡色部分への色泣きを評価するための試験法である。

ATTS1302:2014
色泣き試験方法
 「色泣き」は、JIS の洗濯や汗に対する染色堅ろう度試験方法では十分に再現されないケースが多いため、各社独自の方法で評価されてきた。この規格は、色泣き試験について再現性の高い安定した条件で実施することを目的に研究し、作成した試験法である。

ATTS1401:2000
染色堅ろう度試験に用いる添付白布・石けん洗剤に起因する汚染性の評価方法
 染色堅ろう度試験で生じる試験結果(等級)の差異(誤差)は、試験が適正に運用でされた場合でも、人為的な判定誤差により生じることが多く知られているが、資材(添付白布・石けん・洗剤等)の種類に起因している可能性があるという経験をしている声を聞くことがある。添付白布の規格は染色堅ろう度用添付白布(JIS L 0803)に汚染性・pH 等が規定されているが、ほとんど確認試験が行われていない状況であり、各社が使用している各供給先の添付白布の汚染性を評価することと汚染性試験の条件・方法を確認することが必要と考えられる。事実、染色堅ろう度用の添付白布は各サプライヤーから供給されているが、JISにはその規格が決められているものの、汚染性の試験が行われているとは聞かない。この規格は、添付白布及び石けん・洗剤の差異による染色堅ろう度試験の試験結果に対する影響の有無を確認する試験法である。

ATTS2102:1992
衣料用ポリウレタン加工素材の経時変化に対する評価方法
(人工汗液ジャングル試験方法)
 市場で流通している通称コーティング又はラミネート加工素材といわれる商品の膜成分は、ポリウレタンやアクリル系、PVC(塩化ビニル樹脂)、ゴムなどであるが、特にポリウレタンを使用した商品が圧倒的なウェイトを占めている。このポリウレタンを使用した商品において、取り扱い又はクリーニング後に、はく離や粘着、脱落などのトラブル発生が数多く見られるようになった。この規格は、実用的な衣料用ポリウレタン生地の経時劣化に対する試験方法とその評価方法である。

ATTS3101:1994
ウォータースポット現象の評価方法
 この規格は、JIS では詳細が規定されていないウォータースポット現象の評価方法について作成した規格である。また、解説には、ウォータースポットの発生原因とその軽減策についての詳細を記載している。

ATTS3201:2003
フリースの外観変化(毛寄れ現象)評価方法
 この規格は、JIS では詳細が規定されていないフリースの外観変化(毛寄れ現象)の評価方法について作成した規格である。フリースの外観変化(毛寄れ現象)評価について、「ピリング試験されたフリースの外観に対する判定方法及び表記方法」及び「ATTS毛寄れ判定標準写真」を掲載した。

以上のATTS試験方法はATTS設立40周年記念誌に詳細に記載しております。購入希望の方は、以下にご連絡下さい。
ATTS設立40周年記念誌のページへは、ここをクリック
(正会員 1冊 3,000円, 非会員 1冊 5,000円)
 e-mail:   

新JIS取扱い表示 JIS L 0001に関連した研究・調査
 ATTSでは、新JIS取扱い表示に関連して、様々な研究と調査を行ってきました。そのエッセンスを以下にまとめて、ご紹介します。新しい取扱い表示を選ぶ際のご参考になればと思います。ATTSレポートの欄でリンク(下線部分をクリック)を貼って、詳細をご確認いただけるようにしました。ご覧の際には、会員ページのID、パスワードが必要です。

タイトル

ATTSレポート

内容

衣料品の水洗い推進研究分科会Ⅱ
~家庭洗濯実態への対応(第
3報)

No.119(2004.6)

綿ニット生地を用いたISO乾燥機と市販乾燥機との寸法変化の比較(試験条件の検討)

衣料品の水洗い推進研究分科会Ⅱ
~家庭洗濯実態への対応(第
4報)

No.120(2004.11)

綿ニット生地を用いたISO乾燥機と市販乾燥機との寸法変化の比較

(まとめ)家庭用タンブル乾燥機はISO乾燥機とほぼ同じ結果となった。

衣料品の水洗い推進研究分科会Ⅲ
~取扱い絵表示と洗濯試験法

No.127(2006.5)

綿、ポリノジック、レーヨン生地を用いて、各種洗濯機(全自動、ドラム式、二槽式、ウェスケータ-、ワッシャ-)で洗濯機械力を変えて累積10回目までの寸法変化を調べた。洗濯機械力の影響は少なく、むしろ繰り返し洗濯での乾燥有無の方が寸法変化に大きく影響を与えた。

衣料品の水洗い推進研究分科会報告
~洗濯機械力と衣料品の布傷みとの関係

No.137(2008.10)

ウェスケーターと全自動・二槽式洗濯機の洗濯コースや洗い時間を変えて、衣料品の布傷みを評価。トレーナーや靴下のピリングに違いが認められた。

衣料品の水洗い推進研究分科会報告
~洗濯機械力と衣料品の布傷みとの関係(第
2報)

No.141(2009.10)

ウェスケーターと全自動・二槽式洗濯機に比べて、MA値が高いほど、タオルや裏毛ニット生地の重量減少が大きくなり、ピリングも悪化した。

「取扱い絵表示検討委員会」の発足にあたって

No.142(2010.2)

JIS L0217ISOと整合化することによる課題やISOASTMの表示の相違についてまとめられている。

ATTS取扱い絵表示検討委員会(第1報)

No.146(2011.2)

従来の絵表示記号と新しい絵表示記号との置き換えの考え方が明確に示されている。現状、少し変化している部分はあるが、基本的な置き換えにおける考え方や置き換えた絵表示の事例はいまでも参考になる。

商業クリーニング実態調査結果報告

No.147(2011.5)

パークレンや石油系での商業ドライクリーニングおよび商業ウェットクリーニングの各工程の処理時間が集計(N=117)されている。

酸素系漂白剤に対する染色堅ろう度試験方法の検討

No.152(2012.7)

ISO法とJIS法と家庭洗濯で酸素系漂白剤を用いた際の染色堅ろう度の相違を洗濯20回まで行い比較。ISO法は酸素系漂白剤を用いた家庭洗濯20回以上に相当することを確認。

取扱い絵表示の国際整合化における課題と対応について

No.158(2014.2)

アパレルメーカー、消費者教育、洗濯機メーカー、洗剤メーカーの各業界における課題をまとめた。

酸素系漂白剤を用いる染色堅ろう度試験方法の検討

No.159(2014.5)

日本学術振興会染色堅ろう度第134委員会から、ATTSへの依頼を受け、ISO105-C09と変退色が同等となる過炭酸ナトリウムを用いたJISL0889改正試験方法を提案したときの内容。Hを合わせる方法などのノウハウと注意すべき染料の事例を記載。
現在のJIS L 08892014である

取扱い表示記号に関する新JISの解説と課題について

No.164(2015.7)

JIS取扱い表示のJIS L0001規格のわかりやすい解説書。新JIS取扱い表示を理解するうえでの参考となる。また、関連規格の試験方法にはいくつかの課題があることが示されている。


活動目的
 繊維製品技術研究会(略称「ATTSssociation for extile echnical
tudy)は、繊維製品等の品質問題を中心に、技術的見地より調査・研究及び情報交換を行い、繊維製品等の品質改善、取扱い方、又は消費の適正化を図ことを目的として活動する研究会です。
 本研究会は、1977年2月に発足し、繊維製品の製造業、販売業、繊維関連業、関係官庁、業界団体及び指定検査機関に属する品質・技術担当者のほか、学識経験者などを含めた会員で構成されています。定期開催される研究会(例会)および各研究分科会において、各種の情報交換および調査・研究が行われています。

活動内容の紹介

1.研究会(例会)
 会員参加による討議を目的として開催される。講演・話題提供・研究分科会報告などがある。年間4回にて開催。
開催月は、原則として、5月、7月、11月、2月。

2.部会等
(1)幹事会
 本研究会の方針、活動計画(企画)及び諸運営事項の立案、審議、決定

(2)研究分科会
 a)情報研究分科会
  情報収集、調査分析及び対策の提言を行うための研究分科会。必要に応じて(テーマ別)研究分科会の設置を答申する。現在、関東と関西で2つの情報研究分
  科会が活動中。

 b)(テーマ別)研究分科会
  広く共通する問題テーマを取り上げ、基本的な調査研究も踏まえた調査・確認試験を行い、試験方法、評価基準、対策案などの提案を行う。

(3)レポート編集委員会
  ATTSレポートの編集及び発行。(年4号発行)

(4)Web委員会
  ATTSのホームページ(ATTS-Web)の管理及び運営。


ATTS会則(以下のリンクをクリックしてください)
ATTS会則